大企業を辞めた経緯

大企業の歩き方

ご挨拶”にも記載している通り、私は約20年ある大企業に勤めていました。給与や福利厚生の水準は高く、辞める人が少ない安定した会社です。

それでも私は、訳あって自ら退職を決めました。この経緯を語ることで、組織や人材評価のあり方について、何か気付きが生まれればと思い、書いてみることにしました。

退職の原因

まず最初に断っておきたいのは、一番の原因は私自身の力不足だということです。退職の経緯なので、どうしても会社の課題にも触れますが、あくまでも私が対応しきれなかったために生じた問題です。今もその会社は社会に価値を提供し続けている素晴らしい会社です。

ではなぜ私は辞める決断をしたのか、主な要因は、・絶対的な上意下達 ・昇進の期待値 ・労働環境の三つです。

要因1.絶対的上意下達

仕事をしていれば上司⇔部下の関係で、どうしても意見が対立することはあります。その際、私がいた組織では、上司がこうだと思えば、部下が何を言っても最終的には上の意見が絶対的でした。それが納得できる結論ならまだしも、納得できない、もっと言えば間違っていると感じても従わざるを得ない場面もありました。中には、声を荒げることで押し通すパワハラまがいの人間もおり、相手が幹部であっても意見をはっきり言う私には不信感が募りました。また、いくら職制が上がってもその状況は変わらず、課長は部長に、部長は役員に、役員でもさらに上の取締役に怯えて物申せないような文化でした。これは私の目から見た感想ですが、日本型の終身雇用がもたらす組織の構造的な問題だと感じられました。

それに加え、会社⇔社員の関係でも上意下達があります。基本的に会社の決定には従うしかないのですが、特に勤務地は、家族の事情などから希望を出しても聞き入れられず、遠方に異動となることもありました。会社員なら当たり前なのは分かっていますが、個人的にはこの点もきつかったです。

要因2.昇進の期待値の低さ

次に昇進の期待値とは、要するに人事評価です。新入社員は横一線ですが、そこから徐々に差がついていきます。会社としては誰かを将来の幹部にしなければならないので、その見極めをする訳ですが、30代でほぼほぼその仕分けは終わっていると感じました。

で、私は選ばれなかったのですが、そこで諦めた訳ではありません。一握りの幹部にはなれなくても、多くの社員が担う会社を支えるポジションを確保すべく、努力を惜しまず頑張りました。自分が優秀だと思ったことはありませんが、人並みに苦労をして結果は出してきたつもりです。

しかしその枠からも漏れてしまいました。会社側から見れば、「当然の評価だ」と言われるかもしれませんが、社員の意識とかけ離れると「自分にはここでの将来はない」と感じてしまうのだと思います。実際私は自分の評価と期待値を考えた時、この待遇なら外に出た方が可能性があると感じたのです。

要因3.疲弊した労働環境

労働環境は、どの会社も似たような状況だと思いますが、残業が常態化していました。これは20年間ほとんど変わりませんでした。残業し過ぎて頭が混乱していました。最初は「残業したくない」がデフォルトですが、仕事が終わらないため、次は「できるだけ残業したい」となります。しかし残業が増えてくると、会社から時間を制限されるため「時間をつけずに残業したい」となり、家に持ち帰って私物パソコンで仕事しだす頃には「あれ?俺どうしたいんやっけ?」と混乱状態に陥りました。

そもそも長時間働くと効率が落ちますし、さっさと帰って寝るべきなんですが、そんな当たり前も分からなくなるぐらい追い込まれていました。私はそこまでいかなかったものの、追い込まれて会社に来られなくなる人を何人も見てきました。

そんな中、さらに追い打ちをかけたのが、大企業特有の組織縦割り問題です。縦割りの組織で守備範囲を決めていますが、微妙なボールがちょくちょく飛んできます。その際、みんな残業で疲れているので、ボールを譲り合う、つまり仕事の押し付け合いが始まります。この無駄な労力にさらに疲弊させられるのでした。

組織コミットメント

「組織コミットメント」という考え方があります。 組織への同一視や関与の強さを表す概念で、組織心理学者のアレンとメイヤーは三つの要素に分けました。

それは、①感情的コミットメント:組織への愛着 ②存続的コミットメント:損得勘定 ③規範的コミットメント:忠誠心 の三要素です。

私の場合、まさにこの三要素全てが失われてしまいました。労働環境に疲れて①愛着がなくなり、昇進期待値の低さから②損得勘定で外に出る方を選び、上意下達により③忠誠心がなくなってしまいました。もしどれか一つでもコミットできていれば辞めずに済んだのかもしれません。

まとめ

以上、私の退職の経緯を赤裸々に語ってみました。これは自分がいた会社を悪く言いたい訳ではなく、会社組織を維持する上でケーススタディの一つと捉えていただければと思います。

私一人が辞めたぐらいで会社はビクともしませんが、同じような人が続出すると日本の会社にとって良くないでしょう。経営者の方には、組織コミットメントを満足させる仕組みを是非考えてほしいと思います。

とはいえ、全て私の力不足が根源にあります。私は“大企業の歩き方”に失敗した人間なのです。結局は自分にもっと実力があれば、会社を辞めることはなかったでしょう。

お世話になった皆様、ホンマすんませんでした!